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基底の取り替えと線形写像の表現行列の関係 メモ

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数学 線形代数 基底 表現行列 ベクトル空間 行列
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抽象ベクトル空間の間の線形写像とその表現行列
··3039 文字·7 分
数学 線形代数 ベクトル空間 線形写像 表現行列
一般のベクトル空間の間の線形写像もスカラーから成る行列で表現することができる。
すげえよ。
ベクトル空間の基底と基底の間の関係
··2446 文字·5 分
数学 線形代数 ベクトル空間 基底 正則行列 行列 一次結合
昼夜逆転生活 助けてくれ

の記事で一般のベクトル空間の間の線形写像に関して、基底を固定することによって線形写像の表現行列を得られることと、1つのベクトル空間の基底と別の基底との間の関係が明らかになった。

それらを組み合わせて、固定する基底を変更したときの表現行列が変更前の表現行列とどのような関係にあるのか調べる。

基底の取り替えと線形写像の表現行列の関係
#

ベクトル空間\(V, \space W\)と線形写像\(f: V \to W\)を考える。

\(V\)の2組の基底を\((\bm{v}_1, \space \dots, \space \bm{v}_n), \space (\bm{v}^{\prime}_1, \space \dots, \space \bm{v}^{\prime}_n)\)とする。

同様に、\(W\)の2組の基底を\((\bm{w}_1, \space \dots, \space \bm{w}_m), \space (\bm{w}^{\prime}_1, \space \dots, \space \bm{w}^{\prime}_m)\)とする。

ベクトル空間の基底の間には変換の行列が存在するので、 $$ (\bm{v}^{\prime}_1, \space \dots, \space \bm{v}^{\prime}_n) = (\bm{v}_1, \space \dots, \space \bm{v}_n) P \\ (\bm{w}^{\prime}_1, \space \dots, \space \bm{w}^{\prime}_m) = (\bm{w}_1, \space \dots, \space \bm{w}_m) Q \\ $$ となる。(\(P, \space Q\)は正則行列。)

そして、\((\bm{v}_1, \space \dots, \space \bm{v}_n), \space (\bm{w}_1, \space \dots, \space \bm{w}_m)\)に関する\(f\)の表現行列を\(A\)として、同様に、\((\bm{v}^{\prime}_1, \space \dots, \space \bm{v}^{\prime}_n), \space (\bm{w}^{\prime}_1, \space \dots, \space \bm{w}^{\prime}_m)\)に関する\(f\)の表現行列を\(B\)とする。

線形写像の表現行列の定義(上述の表現行列の記事内で解説されている)より、 $$ (f(\bm{v}^{\prime}_1), \space \dots, \space f(\bm{v}^{\prime}_n)) = (\bm{w}^{\prime}_1, \space \dots, \space \bm{w}^{\prime}_m) B = (\bm{w}_1, \space \dots, \space \bm{w}_m) Q B $$ である。

他方、\(f\)の線形性より、 $$ (f(\bm{v}^{\prime}_1), \space \dots, \space f(\bm{v}^{\prime}_n)) = (f(\bm{v}_1), \space \dots, \space f(\bm{v}_n))P $$ であり、表現行列の定義より $$ (f(\bm{v}_1), \space \dots, \space f(\bm{v}_n)) = (\bm{w}_1, \space \dots, \space \bm{w}_m) A $$ なので、 $$ (f(\bm{v}^{\prime}_1), \space \dots, \space f(\bm{v}^{\prime}_n)) = (\bm{w}_1, \space \dots, \space \bm{w}_m) A P $$ である。

よって、 $$ (\bm{w}_1, \space \dots, \space \bm{w}_m) Q B = (\bm{w}_1, \space \dots, \space \bm{w}_m) A P $$ が成立する。

式変形すると、 $$ (\bm{w}_1, \space \dots, \space \bm{w}_m) (Q B- AP) = (\bm{0}, \space \dots, \space \bm{0}) $$ となり、\(\bm{w}_1, \space \dots, \space \bm{w}_m\)が一次独立であることと、積の結果は一次関係の集まりの形になることから、成分を比較すると係数は全て0になる。

よって、\(QB-AP= O\)となる。(\(Oは零行列\)) つまり、\(QB=AP\)であり、基底の変換の行列\(Q\)は正則なので、逆行列\(Q^{-1}\)を両辺に左からかけると、
\(B=Q^{-1}AP\)となる。

整理
#

\(B=Q^{-1}AP\)とは何を意味しているのだろうか?

これはそのまま行列\(P\)に\(A\)をかけて\(Q^{-1}\)をかけると行列\(B\)に等しくなることを示している。

\(V\)の基底\(v_{1}, \space v_{2}\)と\(W\)の基底\(w_{1}, \space w_{2}\)を考えたときに、
\(v_{1}, w_{1}\)を固定して得た表現行列
と、
\(v_{2}, w_{2}\)を固定して得た表現行列
の間には変換の行列で表すことができる関係があり、 それぞれの基底の変換の行列をうまく利用することによって、\(f\)の別の基底に関する表現行列\(B\)を求めることができるということだ。

ググればそこらへんのサイトで分かりやすいおなじみの図が出てくるはずなので見ておいたほうが良い。

線形変換の場合
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\(f: V \to V\)の場合、\(V\)の2組の基底に関する変換の行列を\(P\)とすると、上述の関係は $$ B= P^{-1}AP $$ となる。

このとき、\(B\)は\(A\)に相似である。

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