動機 #
商ベクトル空間関連で分からないことがあったが、時間をかなりかけてもうまくいかなかったのでとりあえず諦めて先に進むことにした。
ただ、せっかくなので腹いせに最後に具体例を少し調べて理解しておきたいと思ったので調べておくことにした。
自分が将来忘れたときにも役立つだろう。
商ベクトル空間とは? #
\(2 \times 2\)行列からなるベクトル空間に関する商ベクトル空間 #
\(V\)を\(2 \times 2\)行列全体からなるベクトル空間とする。
スカラーは実数を考えることにする。
つまり、 $$ V = \lbrace \begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix} | \space a,\space b, \space c, \space d \in \Reals \rbrace $$ だ。
\(V\)の基底は例えば、 $$ \begin{pmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 0 \\ \end{pmatrix}, \space \begin{pmatrix} 0 & 1 \\ 0 & 0 \\ \end{pmatrix}, \space \begin{pmatrix} 0 & 0 \\ 1 & 0 \\ \end{pmatrix}, \space \begin{pmatrix} 0 & 0 \\ 0 & 1 \\ \end{pmatrix} $$ の4つが存在するので、\(\dim V = 4\)であることに異論はないだろう。
商ベクトル空間は具体的にどのような感じになるか #
いま、\(V\)の部分空間\(W\)を適当に選んで、\(V/W\)がどのような形になるのか調べてみよう。
\(\dim W = 1\)の場合の一例 #
まず、 $$ W = \lbrace \begin{pmatrix} x & 0 \\ 0 & 0 \end{pmatrix} | \space x \in \Reals \rbrace \implies \dim W = 1 $$ の場合、商ベクトル空間\(V/W\)は $$ \dim V/W = \dim V - \dim W = 3 \\ V/W = \lbrace \bm{v} + W | \space \bm{v} \in V \rbrace \\ = \lbrace \begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix} + W | \space a,\space b, \space c, \space d \in \Reals \rbrace $$ のような形になる。
ピンと来ないかもしれないが、\(\bm{v} + W\)の定義は $$ \bm{v}+W \coloneqq \lbrace \bm{v}+\bm{w}∣ \bm{w} \in W \rbrace $$ であったことを思い出すと、\(W\)の全体が\(\bm{v}\)によって"平行移動"されたものの全体が\(V/W\)であることがわかる。
\(V/W\)の基底がどのような形をしているのかも確かめておこう。
\(V/W\)の基底の一例として、 $$ \begin{pmatrix} 0 & 1 \\ 0 & 0 \end{pmatrix} + W, \space \begin{pmatrix} 0 & 0 \\ 1 & 0 \end{pmatrix} + W, \space \begin{pmatrix} 0 & 0 \\ 0 & 1 \end{pmatrix} + W $$ が考えられる。
まとめ #
\(W\)を適当に変更した際、\(V/W\)の基底がどのようになるかまとめておく。
\(W\) | \(V/W\)の基底の一例 |
---|---|
\(\small \lbrace \begin{pmatrix} 0 & 0 \\ 0 & 0 \end{pmatrix} \rbrace\) | \(\tiny \begin{pmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 0 \end{pmatrix} + W, \space \begin{pmatrix} 0 & 1 \\ 0 & 0 \end{pmatrix} + W, \space \begin{pmatrix} 0 & 0 \\ 1 & 0 \end{pmatrix} + W, \space \begin{pmatrix} 0 & 0 \\ 0 & 1 \end{pmatrix} + W \) |
\(\small \lbrace \begin{pmatrix} x & 0 \\ 0 & 0 \end{pmatrix} | \space x \in \Reals \rbrace\) | \(\small \begin{pmatrix} 0 & 1 \\ 0 & 0 \end{pmatrix} + W, \space \begin{pmatrix} 0 & 0 \\ 1 & 0 \end{pmatrix} + W, \space \begin{pmatrix} 0 & 0 \\ 0 & 1 \end{pmatrix} + W \) |
\(\small \lbrace \begin{pmatrix} x & y \\ 0 & 0 \end{pmatrix} | \space x, \space y \in \Reals \rbrace\) | \(\small \begin{pmatrix} 0 & 0 \\ 1 & 0 \end{pmatrix} + W, \space \begin{pmatrix} 0 & 0 \\ 0 & 1 \end{pmatrix} + W \) |
\(\small \lbrace \begin{pmatrix} x & y \\ z & 0 \end{pmatrix} | \space x, \space y, \space z \in \Reals \rbrace\) | \(\small \begin{pmatrix} 0 & 0 \\ 0 & 1 \end{pmatrix} + W \) |
\(\small \lbrace \begin{pmatrix} x & y \\ z & w \end{pmatrix} | \space x, \space y, \space z, \space w \in \Reals \rbrace\) | 0個のベクトル |
ここで、\(V\)に関して、🔗各々の同値類の元をすべて集めると全体になるが成りたつことを思い出そう。
\(V/W\)の各々の元(同値類)の各々の元を集めると\(V\)に一致するということだ。
確かにどの\(W\)のパターンでもそのようになっている。
最後の\(\dim V/W = 0\)の場合も、0組のベクトルによって、\(\lbrace \bm{0} \rbrace\)が生成されることと、\(V/W\)のゼロベクトルは\(W\)であることを考えると成り立っていることが確認できる。