逆行列(inverse matrix)とは #
行列\(A\)に関して、
$$
AX = XA = E
$$
を満たす行列\(X\)のこと。
\(E\)は単位行列。
\(A\)の逆行列は\(A^{-1}\)と表される。
つまり、
$$
AA^{-1} = A^{-1} A = E
$$
である。
正則行列(regular matrix) #
逆行列が任意の行列に関して常に存在するとは限らない。
逆行列が存在する行列を正則行列という。
可逆行列(invertible matrix)と言われる場合もある。
逆行列の一意性 #
いま、正則行列\(A\)に関して2つの逆行列 \(X,\space Y\)が存在すると仮定する。
仮定と逆行列の定義より、 $$ AX = XA = E \\ AY= YA = E $$ である。
ここで、 $$ X = XE \\ = X(AY) \quad \because E = AY \\ = (XA)Y \quad \because 行列の積の結合法則 \\ = (E)Y \quad \because XA = E \\ = Y $$ と\(X=Y\)が示されるので、逆行列は一意的であることがわかる。
逆行列と逆写像 #
🔗行列は線形写像の表現行列とみなすことができるので、逆行列も線形写像に対応する。
そして、行列の積は線形写像の合成に対応するので、正則行列\(A\)に対応する線形写像が\(f\)とすると、 逆行列\(A^{-1}\)に対応する線形写像\(g\)が存在して、
\(id\)を恒等写像として $$ g \circ f = id \\ f \circ g = id $$ の関係にあることがわかる。
つまり\(f^{-1}=g\)である。
逆写像\(f^{-1}\)が定義されるのは\(f\)が全単射のときのみである。
編集後記 #
正則行列であることの条件と解釈辺りをいつか整理したいと思う。